コードリーダー・ジャパン株式会社 小林 弘佳
1.はじめに
自動認識技術というと RFID の話題が中心であるが、バーコード技術も捨てたものではない。
このバーコードに関しては POS での JANコード に始まり、QRコードに代表される 2次元シンボル等が日常生活の中で一般的なものとなり、1次元、2次元シンボル共にあらゆる分野で活用されている。
ここで本論に入る前に、今なぜ 2次元シンボルが必要とされているのかを一般論として考えてみよう。 商品や製品といった固体 (物)の輸送手段としては、人間やオートバイ、トラックや列車、船や飛行機などのエネルギーを消費しながらの形態でしかありえない。 一方、コンピューター社会における情報の輸送 (転送)手段をしては、一般的には 「物」 に添付されている商品タグなどに印刷されている商品コードなどの「情報」としての 1次元バーコードシンボルを読み取り、その 「情報」 をパソコン あるいは ホスト・コンピューターに転送する方法があるが、これでは 「物と一緒」 での情報伝達にはならない。なぜならば 「物」 に関する詳細情報はネットワークを介してホスト・コンピューターに問合せしなければならない。結論としていえることは、 『情報を表すビットは質量もなく形を変えて遠距離に転送することは出来るが、 「物」 そのものはインターネットで送れない』 のである。
ところが、小さなエリアに多量の情報を表現できる 2次元シンボルを活用することによって、「物」の 「詳細情報」 を 「物そのものと一体」 で運ぶ手段としては現実的であり、しかも安価で最も適した輸送手段といえる。つまり、使用する現場で必要な情報を得ることが可能である。この意味において 2次元シンボルの活用は、ネット社会における 「情報一致」 の認識手段としては、非常に有効な方法である。
このような 「情報一致」 を最も必要とされる医療分野では、社会的な背景として医療過誤の防止と物流の合理化を含めた トレーサビリティ に対する要求が強まり、標準化とそれに伴うバーコード活用が積極的に推し進められている。日本の医療業界ではこのバーコード活用を積極的に推し進める医療機関も増えてきたが、それでも限られた世界でのシステム運用であると言わざるを得ない。国の行政機関を起点とした全ての医療機関や医療業界が共有して活用できるレベルまでには至らず標準化が遅れていたために、逆に先進的なバーコードシンボルを採用することができる環境にあったのは、皮肉なことといえよう。